鍵の種類と防犯性能。ディンプルキーの仕組みと防犯性が高い理由

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カテゴリー:防犯対策

空き巣が家の中に侵入するのに用いられる手口としてピッキングがあげられます。ピッキングとは、家の鍵穴の中に針金などを差し込み、鍵を使わずに外から開錠する方法のことです。

経験や技術によっても大きく左右されますが、ピッキング対策が施されていない鍵の場合、開錠するまでにかかる時間はたった数秒から数分と言われています。

ここではピッキングをはじめとする空き巣などの防犯対策について詳しく解説していきます。

最も簡単な空き巣対策とは?空き巣に狙われないための単純なこと

空き巣はなんの用意も行わずにいきなり侵入を試みることはめったにありません。犯行の前には必ずターゲットとなる家の下調べを行い、防犯対策の取られている家を極力避けてリスクを減らします。その際、最も基本的なこととして入り口のカギの数を確認しています。

空き巣が最も嫌う事は開錠に必要以上の時間かけてしまう事です。時間がかかればそれだけ空き巣はリスクを負うことになるため、すぐに開錠されないような対策をしてしまえば空き巣に狙われる可能性も低くなります。

防犯性の高い複数の鍵を取り付ける

つまり最も簡単な方法としては、複数の鍵を取り付け、防犯対策をとっている家だとアピールすることです。しかし、数分で開錠されてしまうような従来のピッキングしやすい鍵であれば、2つの鍵を施錠したところで、かかる時間はさほど変わらないため空き巣にとっても大きなリスクとはなり得ません。

空き巣からの被害をなくすためには複数の鍵穴にするだけではなく、鍵自体もピッキングされにくい、防犯性の高いものに変える必要があります。

ピッキングされにくい、防犯性の強い鍵とされているのがディンプルキー、ロータリーディスクシリンダー型、カードキー、電子ロックの4種類です。これらの鍵に交換することによって、ピッキングされにくい家にすることができます。

ディンプルキーとは?

ディンプルキーは従来の鍵とは形が大きく異なります。従来の鍵にはギザギザした溝がありましたが、ディンプルキーには一切ギザギザはありません。その代わり鍵の表面には複数の窪みがあります。この窪みによって鍵を開けたり閉めたりしています。

ディンプルキーは相次ぐピッキング被害への対策として生み出された鍵です。その防犯性の高さから、徐々にディンプルキーのシェア率は上昇していて、現在では日本全体の家屋のうち、およそ3割がディンプルキーになっていると言われています。

最近建てられたマンションの鍵はそのほとんどがディンプルキーとなっています。今後もどんどんシェアを伸ばしていくことが予想されていて、将来的にはディンプルキーのシェア率はおよそ7割程度になるのではないかといわれています。

ディンプルキーがピッキングに強い理由として、単純に構造が複雑であることがあげられます。従来の鍵穴のピンは上下にしか存在しなかったのですが、ディンプルキーの場合は横や斜めにもピンが付いているため、通常のピッキングでは対応できない構造となっています。

それでも最近ではディンプルキーに対応しているピッキング道具も出回っているため、完全に安心出来るわけではありません。しかし開錠の難易度は従来よりも高いため、ディンプルキーの設置が防犯効果を高めることは確かです。ディンプルキーに交換するだけで空き巣の被害に遭う確率は85パーセント近くも減少すると言われています。

防犯性に優れたディンプルキーですが、その反面デメリットもあります。ディンプルキーはその構造が複雑であるがゆえに、合鍵を作るのが非常に困難です。合鍵の作成には通常の鍵の数倍の価格が必要となる場合があります。ディンプルキーは専用の機材が無ければ複製できず、コンマ単位のズレがあれば開錠できなくなる、業者泣かせな製品でもあるのです

ロータリーディスクシリンダー型とは?

現在、日本の家屋の鍵として最も多く普及しているのがディスクシリンダー型と呼ばれているものと言われています。ところが、このディスクシリンダー型はピッキングされやすい鍵穴の代表格でもあるため、空き巣の格好の餌食になります。そんなディスクシリンダー型を進化させたのがロータリーディスクシリンダー型と呼ばれる鍵です。

まずディスクシリンダー型がどのような仕組みなのか簡単に説明しましょう。ディスクシリンダーは施錠されている状態だと、ドアノブの内部に複数設置されているタンブラー(ピン)と呼ばれる板が外筒にはみ出した状態となっており、それが物理的にドアノブの回転を阻害しています。

タンブラーは差し込まれる鍵の凹凸に合わせてスライドし、正しい鍵を差し込むとタンブラーもドアノブが回転できる正しい位置へと動くため、開錠できるという仕組みとなっています。

ピッキング(レーキング)では別の道具を使って無理やりタンブラーを正しい位置へと移動させます。ディスクシリンダーの場合はひとつのタンブラーが正しい位置へと移動するたびに感覚として伝わりやすく、複数のタンブラーをひとつずつ着実に正しい位置へと合わせていくことができるため、ピッキングがやりやすい鍵といわれています。

対してロータリーディスクシリンダー型の場合は、ひとつのタンブラーが正しい位置に移動しても感覚が伝わりにくい構造となっています。ヒントがない状態で複数設置されているすべてタンブラーを正しい位置に合わせる必要があるため、開錠させるのは至難の業です。

ロータリーディスクシリンダー型もピッキングが難しい鍵と知られているので、前述したディンプルキーと同様に、ディスクシリンダー型からロータリーディスクシリンダー型のカギに交換するだけで、空き巣に狙われにくくなることが期待できるでしょう。また、ディンプルキーに比べると比較的安価に鍵を交換できるというのも大きなメリットと言えます。

ただロータリーディスクシリンダーにも一つ弱点があります。それは比較的簡単に合鍵を作れるという事です。そのため玄関周りなどにカギを隠すような事はせず、合鍵作成の隙をいつくらないようにしましょう。

カードキーとは?

ホテルなどの宿泊施設でよく利用されているのがカードキーです。最近では住居用の高級マンションがカードキーになっていることがあります。

カードキーは鍵穴が存在しないため、ピッキング自体が不可能です。これだけでも高い防犯性を誇っていることが分かります。オートロック設定も可能なため、鍵を閉め忘れるような事もありませんし、センサーに近づけるだけで開錠できるため暗がりで鍵穴を探す必要がないことも大きな魅力です。

そしてカード型なので、かさばらず財布やカード入れに入れて簡単に持ち運ぶことができます。

一方難しいもので、財布に入れて持ち歩けるというのはそのままデメリットにもなり得ます。万が一財布を落としてしまうと、金銭やクレジットカード類だけではなく、鍵も紛失するので家の中に入れなくなってしまうためです。

そして紛失した場合、再発行の手続きには通常の鍵よりも手間と時間がかかるのも抑えておきたいデメリットといえるでしょう。

電子ロックとは?

最後に電子ロックについて紹介します。最もよく見かけるのが暗証番号タイプの鍵です。賃貸マンションのエントランス部分などは暗証番号タイプの鍵となっている所がとても多くなっています。暗証番号型の鍵もまた、防犯性がとても高い鍵の一つと言えるでしょう。

暗証番号を知らなければ開錠できないので、空き巣がいくら侵入を試みてもよほどの偶然か、どこかから暗証番号を入手しない限り侵入は不可能です。電子ロックの暗証番号を赤の他人に教えるという事はありませんから、空き巣が暗証番号型の鍵を開けて侵入するという手段はほぼないと言っても良いでしょう。

また、鍵を持ち歩く必要がないというのも電子ロック型の特長の一つで、鍵を落としてしまうというようなことも皆無です。カギを落とす心配がなくなるというのは電子ロックタイプならではのメリットと言えるでしょう。また通常、電子錠・電気錠・電池錠は自動施錠となりますので、鍵を閉め忘れる心配がないということもポイントでしょう。

さらに、簡単に暗証番号を変更できます。定期的に暗証番号を変更することによって、鍵自体が変わることと同意義になり、さらに防犯性をアップさせることができるでしょう。

そしてリモコンに対応できるものであれば、お客さんが来たときにわざわざ玄関まで鍵を開けに行く必要もありません。

このように優れた機能がたくさんある電子ロック型の鍵ですが、一方でデメリットもあります。最も大きなデメリットはやはり導入コストではないでしょう。安いタイプでも暗証番号タイプの鍵は本体価格だけで数万円が必要です。

加えて、電子錠は構造が複雑であるため、素人が取り付けることはほぼ不可能です。必然的に業者に取り付けを依頼することになりますが、業者に取り付けてもらう場合は工事費も別途必要なので、かなりの出費を覚悟する必要があります。

そして、改めていうまでもありませんが、暗証番号タイプは暗証番号を入力してはじめて開錠できます。暗証番号を忘れてしまうと家の中に入ることができません。

どうしても開けられない場合は鍵屋さんに開錠してもらうことになりますが、最悪の場合は現在取り付けている電子錠を外して鍵を開け、新しい電子錠を取り付けることとなります。暗証番号は他者に推測されにくく、かつ自分が覚えやすいものをしっかりと考えて設定しましょう。

また、電子ロックの中には停電によって家に入れなくなくなるものもあります。電池で動くタイプのものであれば、停電によるリスクを避けることができるため、事前に確認するようにしましょう。その他、長期的に使用すると数字の盤面がすり減ったり、反応が鈍くなったりするので、定期的なメンテナンスが必要ということも覚えておきましょう。

まとめ

以上のように現在ではピッキング対策として、防犯性に優れた鍵がたくさん販売されています。これらの鍵に交換することによって、空き巣に侵入されて金品を奪われるトラブルが発生することを未然に防ぐことができます。カギを交換する際には多少のコストは必要になりますが、大きな安心を得ることができるものです。自宅の鍵を一度チェックし、開きやすい鍵の場合は交換を検討してみると良いでしょう。

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