カテゴリー:鍵
引き戸は、戸を左右にスライドさせる形で開け閉めをする形式の建具です。日本建築の障子やふすま戸などをイメージすれば、わかりやすいでしょう。
その引き戸は後付け交換や、DIYによる交換は可能なのでしょうか?結論からお伝えすると、後付けもDIYすることも可能です。
引き戸は「一枚引き戸」「二枚引き戸」など戸の数によって種類が分かれます。大広間の仕切りのように、三枚以上のケースもありますが、一枚もしくは二枚が一般的です。
この記事では、引き戸と引き違い戸についての説明、後付けDIYについてのお話、一枚引き戸と二枚引き戸の場合について、ご説明いたします。
目次
引き戸と引き違い戸の違いについて
引き戸には大きく分けて2つ、引き戸と引き違い戸があります。どちらも扉を引いて開け閉めするという点では同じですが、仕組みや構造に違いが見られます。
まずはこの2つの違いについて見ていきましょう。自宅で使っているのがどちらか、鍵を交換したいのはどちらかを把握しておくことで、適切な交換方法や鍵のタイプがわかります。
引き戸とは?
一般的に引き戸というと、1枚の扉で構成されたものを差します。たとえばお風呂場と他の部屋を繋ぐ扉はこの1枚タイプの引き戸を利用するケースが多くなります。玄関にはあまり使われず、多くの場合は住宅内部の扉として使われるのも特徴でしょう。
家の中で使われるということもあり、最初から鍵が付けられておらず、誰でも自由に開け閉めできることが多いのも特徴です。基本的には鍵は付けられていませんが、後から鍵を取り付けることも可能です。詳しくは後程説明いたします。
また、鍵を付ける場合は引っ掛け式と呼ばれる、簡易的な鍵を使うことが多いようです。家の中ということで、あまり防犯性能は気にせず、とりあえず鍵をかけて扉が開かなくなれば良いと考えるからです。
そのため引っ掛け式の鍵というのは、扉と壁に引っ掛ける形になっていて、扉の外側からも内側からも鍵の開け閉めが可能です。鍵と言ってもいわゆるキーを使う必要がなく、手で直接鍵をかけるようなタイプが主流です。
もちろん玄関の扉に使われるような鍵を取り付けることも可能ですが、鍵の開け閉めに手間がかかるようになるので、どういった鍵を使うかは慎重に検討しなければなりません。
引き違い戸とは?
引き違い戸とは、2枚の扉が使われていて、お互いが交差するように開くようになっています。玄関の扉として使われることが多く見られます。日本家屋ではごく一般的なタイプです。
使われる鍵も多くの家庭で玄関の鍵として使っているもので、ディスクシリンダーキーやディンプルシリンダーキーなどが一般的です。鍵を錠前に挿し、回すことで鍵を開ける仕組みです。
玄関の扉として引き違い戸を使う場合、外部からの侵入を防ぐためにも鍵はしっかりとかけ、さらに防犯性能の高い鍵が理想的です。簡単にピッキングされてしまうようでは意味がありませんので、できるだけピッキングされにくい、高性能な鍵が最適です。
古い住宅などでは、鍵も古く防犯性能に不安の残る可能性があります。新しい鍵に交換し、より防犯性能を高めるというのは良い方法です。また、やはり古い住宅だと単純に鍵の利便性が低く、不便なこともあります。
外側か内側のどちらかからしか鍵が閉められなかったりするからです。こうなると鍵の開け閉めも不便になり、普段の生活でも面倒に感じられます。こうした場合も新しい鍵に交換することで、利便性を向上させて面倒な手間をなくすことができます。
このように厳密に言うと引き戸と引き違い戸はそれぞれ違いますが、この先は両方を含めて引き戸と総称していきます。
鍵の交換方法は基本的に同じ
引き戸と引き違い戸の違いを見てきましたが、鍵の交換という点において方法はどちらも基本的に同じです。
古い鍵を取り外し、新しい鍵を取り付けるというのは大まかな流れで、引き戸か引き違い戸かに差はほとんどありません。
適した鍵の種類が違ったりすることはありますが、どちらも交換方法は同じような形になっていると考えてもらってかまいません。また、引き戸は住宅内部で使われることが多いため、鍵が不要なケースも多いです。
そのため鍵の交換をするのは玄関に使われている引き違い戸のみということも多く、その意味では引き違い戸の交換さえできれば問題ないとも言えるでしょう。玄関の鍵は方法さえ知っていれば自分で交換することも可能です。
DIYで鍵の交換を考えている場合は、どうすれば正しく鍵の交換ができるのか、その方法をしっかり理解しておきましょう。
引き戸に後付け可能。簡易的な鍵の種類
引き戸の鍵は後付けすることも可能です。そしてDIYして取り付けることも可能です。ただ、柱や壁に穴をあけたりするケースもあり、「多少手間がかかる」鍵の種類もございます。
柱や壁に穴をあける場合、賃貸のお住まいの場合は当然ながら管理者の許可も必要となりますので、必ず事前に確認しておきましょう。
引き戸に後付け可能。簡易的な鍵1.補助錠
補助錠は玄関等の主錠に追加して取り付ける鍵で、比較的に安価で手に入れることが可能です。「補助」と聞くと心もとない感じを受けられるかもしれませんが、室内での引き戸用の主錠として使用されていることも多いです。
補助錠は引き戸の外側か内側の片方からしか鍵を施錠できないものが多いく、防犯性を高めるのであれば、家の外と内計2個の補助鍵を取り付ける事となります。
引き戸に後付け可能。簡易的な鍵2.戸先錠
戸先錠とは、引き戸と壁や柱を固定し施錠するタイプの鍵ので、扉の側面についているのが一般的です。玄関引き戸の鍵として多く使われていて、室内の引き戸にも後付け可能です。
最近では暗証番号を押して鍵を開けるキーレスタイプの戸先錠を選ばれる方も増えています。
引き戸に後付け可能。簡易的な鍵3.電子錠
出入りの度に鍵を出すのが面倒だと感じる人には、暗証番号などで鍵を開錠するキーレスタイプの電子錠も人気です。
電子錠の価格は他の鍵よりも高価ですが、リモコンやスマホアプリ、指紋認証など、製品によって開錠方法が選べ、オートロック機能付きの製品等もあるのも特徴です。
引き戸に後付け可能。簡易的な鍵4.召し合わせ錠
召し合わせ錠は2枚引き戸で、引き戸同士が重なる真ん中で施錠する鍵のことで、一度は見たことがある方も多いのではないでしょうか。
一枚引き戸の施錠について
一枚戸も二枚戸も、基本的にはその戸が移動しないようにするのが施錠になるのですが、一枚戸の場合は引き戸を柱に固定する方法がよく用いられます。柱は言うまでもなく、建物全体の中での動くことのない構造物ですので、可動式の引き戸をそこに固定するのは、引き戸自体の可動性をなくすことによって施錠とするわけです。
この形式で多いのが「鎌錠(かまじょう)」と呼ばれる引っ掛け式の錠前です。鍵種類にはたくさんの分類がありますが、一枚引き戸に対しては鎌の形状をした金具を引っ掛けることでの固定がほとんどなので、鎌錠の一択となります。
これは、引き戸の内部に錠前本体の仕掛けが設けられており、その仕掛けを廻すことで鎌状の金具が飛び出し、柱側の受け穴に引っかかるというものです。この仕掛けを回転させるのにカギ(キー)が用いられます。
最近では金具を動かすのに、カギだけではなく、暗証番号による認証を求める電子ロック形式のものもありますが、鎌状金具の出し入れによって施錠・解錠が行われるのが「鎌錠」と呼ばれる錠前の基本的な構造です。
なお、設置場所によって異なるので一概には言えないのですが、外側からはカギを使って施錠・解錠を行い、内側からは簡単なサムターン(つまみ)を廻すだけで施錠・解錠ができるタイプのものが広く普及しています。
この鍵錠について、もう少し詳しく説明しておきます。基本的な構造は、上述した通り、戸の内部に埋め込まれた可動式の金具と、その金具を固定する柱側の受け穴からなります。受け穴は、柱にビス等で穴あき金具をしっかりと固定しておき、鎌錠本体より金具が飛び出した時にそれと一体化する構造になっています。
そして金具の出し入れを行うのが、ピンタンブラー形式(側面がギザギザになっているもの)やディンプル形式(表面に複数の窪みが設けられているもの)のカギ、あるいは暗証番号等の認証が必要になる電子ロック方式です。
このように説明してくると、いくぶん高度な構造物のようでもありますが、基本的には非常に単純な構造となっています。鎌錠本体は、引っ掛け用の金具の大きさと厚さがあれば十分なので、戸枠の内側を一部分くりぬいて収めることで設置ができます。
この形式のメリットとして挙げられるのが、錠前構造の本体が、施錠時には戸または柱の内側に隠れてしまう点です。錠前の本体、すなわち鎌状の金具はもともと戸の内部に設置されていますし、それが飛び出して柱側の受け穴に収まっている時には、戸自体が受け穴に覆い被さってしまうからです。
戸の全体が破壊されるケースでもない限り、カギを使わない解錠は非常に困難です。
デメリットを挙げるのなら、構造が戸および柱と一体化されているため、交換が難しくなる点です。
鎌錠を収納するための空間を戸の内側に、飛び出してくる金具を適切に受け止める穴を柱側も設けねばならない、しかも穴の大きさや位置は厳密に調整せねばならないなどの事情があるので、手軽なDIYではなかなか対応しづらい部分があります。
この点は、もちろん安全性の裏返しなのですが、スペアキーも含めてカギを紛失してしまうなどで、万が一、交換が必要になった時には、戸全体を付け替えねばならないこともあります。
二枚引き戸の施錠について
二枚引き戸は「引き違い戸」とも言いますが、二列になった溝またはレールの上を戸が移動することで開閉が行われます。溝の上を移動する点は一枚引き戸も同じですが、二枚引き戸が一枚引き戸と異なるのは、その二枚がぴったりと重なり合うことで通行可能の空間が作られるということです(一枚引き戸は、戸が壁と重なり合うことで通行スペースが作られます)。
完全に重なり合った状態が開放であり、重なり合う部分が最小になっている状態が閉鎖ですので、後者の状態で戸それぞれを固定すれば、施錠されたことになるわけです。
この形式で広く用いられるのが「ねじ絞り錠」と呼ばれるものです。これは日本建築でも古くから用いられていたもので、簡単に言えば、一枚目の右端と二枚目の左端(重なり方の状態によって逆になることもあります)を固定する方式です。
具体的には、一枚目に設置されているねじ絞り式の金具を、二枚目に設置されているねじ穴に差し込んで固定するというものです。差し込みに使われる金具には、一本型で未使用時には戸の外側にぶら下がるものと、中折れ型で常時戸の内側に収納されるものがあります。これらは、部品の外観や収納の都合などによって使い分けられます。
メリットとデメリットを言うのであれば、二枚の戸の枠に小さな穴を開けて、小型の金具をビス留めするだけで設置ができるので、手軽かつ廉価という点がメリットです。一方、金具ごと外されてしまうというデメリットもあります。
後者については、他人が触れることのできる場所では、ねじ絞り錠は錠前としての役目を果たさないことも意味します。したがって設置場所は屋内であり、引き戸を内側から固定する場合に限定されます。
このようなデメリットがあるので、外から施錠することを想定するのであれば、ねじ絞り錠以外の鍵種類が求められます。一般的な引き戸玄関でも用いられているのは、シリンダータイプのものになります。ただし「シリンダータイプ」という呼び名は鍵の構造上、筒状の金具を用いているもの全般を指し示しますので、二枚引き戸専用のもの以外も含むことがあります。
つまり「シリンダータイプ」と言うだけでは、必要な鍵種類の限定にはならないということです。ここで言っているのは、要するに、二枚引き戸に対して外からの施錠できるものには、シリンダータイプ錠もあるという意味です。
名称の問題でいうのなら、ホームセンター等での扱い品目名には、他にも「二枚引き戸(引き違い戸)用万能錠」というものもあります。これも、シリンダータイプと言うのと同じで、施錠形式ではなく、用途別の呼び名です。施錠形式でいえば、シリンダータイプにしても万能錠にしても、二枚の戸の重なる部分が最小になっている状態で相互に固定するという機能の錠前です。
このシリンダータイプや万能型は、メーカーによって名前が適用される範囲も異なるため、整理もやや面倒になるのですが、「プッシュ栓錠」という場合は、二枚引き戸用の施錠方式を指し示します。これは一枚目の戸に設置されている筒型金具をカギを用いて二枚目の戸に押しこむものです。
筒型金具を用いているため、この形式を「シリンダータイプ」に含めることもありますが、二枚引き戸を施錠する形式の一つです。
ここまで挙げた中では、ねじ絞り錠を除いた、シリンダータイプまたはプッシュ栓錠、或いは万能型は、どれも施錠・解錠にはカギ(電子キーを含む)を用いること、さらには、設置に際してのビス留め箇所を内側に隠すことなどにおいて、第三者の接触も可能な外側に設置する条件は満たしています。
なお、鍵種類をいう時に「内締まり(うちじまり)錠」という言葉が用いられることがありますが、これはねじ絞り錠に代表されるような、内側からの戸締まりに特化された錠前の名称です。
その他の引き戸鍵について
さて、ここまで引き戸の鍵ということでいくつかのタイプを見てきましたが、引き戸は、冒頭にも触れたように障子などの室内建具も含めて日本建築では古くから用いられてきました。
そのため、現在、広く用いられている近代的な錠前以外にも、伝統的なものが数多くあります。そのいくつかを紹介しておきましょう。
まず引き戸の下に位置する溝に穴を開けておき、戸枠を貫いて落とし木を落とし込むものがあります。これはねじ絞り錠と同じように、用途は内側からの施錠に限定されますが、木材部品を巧妙に組み合わせて、施錠時のみ下部に突起が出るように工夫されたものです(使わない時にはパーツは上部で固定されています)。
一枚引き戸の鍵錠が戸と一体化しているのと同じように、この落とし木タイプの施錠方式は、戸の一部分として組み立てられます。これのバリエーションになりますが、上部の溝に対して施錠時には突起が持ち上がるもの、或いは、上部・下部の併用型などもあります。
いずれにしても古民家の木戸内側に設置されていることが多く、日本の伝統技術の一つです。寄せ木細工が木材を組み合わせた工芸品として注目されることがありますが、戸に設置される落とし木も、落とし込む際の構造やそれを固定する構造などに巧妙な細工がなされていることがあるので、工芸品的な見方をするのも面白いかも知れません。
また、伝統的な施錠をいうのなら、閂棒(かんぬきぼう)やつっかい棒を挙げておくのもいいでしょう。閂棒は観音開きをする扉で用いられるものなので、ここでの文脈には関係ありませんが、つっかい棒の方は、最もシンプルな引き戸用の施錠方式です。
引き戸の施錠は、要は引き戸自体の動きを止めることになるわけですから、溝(レール)に沿って棒を宛がい、引き戸を動かなくするだけで用を果しているわけです。
一枚引き戸の場合は、こうした宛がいだけで十分ですが、二枚戸の場合はあと一工夫が必要になります。手前の引き戸を宛がい方式で動かないようにしておき、さらに、つっかい棒と奥の引き戸を何らかの方法で固定せねばなりません。
例えば、一枚板の戸でも戸を補強する縦木があるのが普通なのですが、そうしたパーツにつっかい棒を結わえ付けるなどすれば、奥の引き戸の動きも止められ、二枚引き戸の施錠もできることになります。
南京錠についても少しだけ触れておきます。施錠のためのパーツが別途必要になりますが、カギを用い、外付けで施錠・解錠するという意味では鍵種類の一つです。
これ引き戸で用いるとすれば、一枚戸のところで説明したように、戸側と柱等の家屋側とを結合させるパーツを設置し、それらが外れないように南京錠を掛ける形になります。
ところで、和風の伝統技術ではありませんが、ショーケース等で二枚引き戸を下部で固定する金属パーツがあります。カタログなどで示される名称でいえば、ショーケース用鍵とかスライドロックとかの名前になっていますが、これも引き戸の重なっている部分を決められた状態で固定するためのものなので、二枚引き戸用の施錠技術が応用されたものと言えるでしょう。
引き戸の鍵について深堀したい方のために、さらに詳細に解説いたします。
鍵の交換が必要になる状況とは?
現在使っている鍵に特に問題がないなら、無理に鍵を交換する必要はないと言えます。ではどんな状況であれば鍵の交換をした方が良いのでしょうか?
鍵の交換が必要な状況についてまとめてみます。
- 鍵が回りにくかったり、引っかかったりで鍵の開け閉めがしにくい
- 鍵が破損・故障するなどして使えない
- 防犯性能が低く心配
- 古い鍵で使い勝手が悪い
以上のような時であれば、鍵を交換することで問題が解決したり、安全性を高めることが可能です。
もし普段から鍵に不具合が見られたり、使い勝手が悪いなら交換を検討するのがおすすめです。また、古い鍵だとどうしても防犯性能が低い状態ですので、新しく交換して安全性を高めることも重要です。
鍵が回りにくい・引っかかる
鍵が回りにくい場合や、鍵が錠前内部で引っかかるような場合、なにか問題が起きている可能性が高いです。
新しいものに交換する前に、鍵の状態がどうなっているかも確認してみましょう。問題の原因によっては、ちょっとした作業で改善できることもあります。回りにくい・引っかかる原因は主に以下のようなものです。
- 鍵受けのズレ
- 建て付けの悪化
- 鍵・シリンダーの劣化や汚れ
- シリンダーの滑りが悪くなっている
こうしたことが原因であれば、鍵の交換前に修理することでも直るケースがあります。どうやって修理すれば良いかも見ておきましょう。
鍵受けのズレ
引き戸の鍵には鍵受けという部分があり、ここに鍵が入ることで回る仕組みになっています。
しかし長年引き戸を使用していると、摩耗や劣化などでこの鍵受けがズレてしまい、うまく鍵が入れられなくなることがあります。こうなると鍵が引っかかったような状態になり、うまく回せません。
当然鍵を開けたり閉めたりするのも難しくなり、最悪の場合は引っかかったまま鍵が抜けない、いつまでも鍵の開け閉めができないという状況になります。
扉に付けられた錠前本体のネジを緩め、自分で鍵受けの位置を調整することも可能ですが、ぴったり位置を合わせないといけません。
少々難しい作業なので、自分では無理だと感じたら業者に依頼するなどしましょう。
建て付けの悪化
鍵そのものに問題があるのではなく、引き戸の扉の建て付けが悪くなることでも鍵の開け閉めがしにくくなる場合があります。
引き戸には戸車というパーツが使われていて、小さなタイヤのようなものが付いています。これが扉を引くだけで動く理由になっているのですが、長年扉の開け閉めを繰り返していると、少しずつ摩耗していきます。
最終的に建て付けが悪くなり、鍵が回りにくくなります。新しい戸車に交換するなどの対応が必要です。
鍵・シリンダーの劣化や汚れ
鍵そのものやシリンダーも劣化していきます。鍵は固い金属でできていますが、それでも少しずつ削れていき形が変わっていきます。
あまりにも劣化がひどいと、鍵の形が本来のものより大きく変わってしまし、鍵穴に入れても回らなかったりします。シリンダーも同様にやはり劣化していき、最終的には鍵のトラブルの原因となります。
この場合は鍵の交換を含め、鍵やシリンダーを新しくするのが良いでしょう。劣化が原因のため、新しいものに交換すればすぐに改善します。
また、鍵やシリンダーに汚れが付いていると引っかかりの原因になります。そこまで大量の汚れが付くケースはそれほどありませんが、まずは鍵とシリンダーを綺麗に掃除してみるのも良いでしょう。
それだけで鍵がスムーズに開け閉めできるようになるかもしれません。
シリンダーの滑りが悪くなっている
シリンダーには潤滑油が使われているため、スムーズに鍵が滑るようになっています。しかし潤滑油が完全に切れてしまうと、鍵が回りにくくなることがあります。
この場合は単純に潤滑油を差してあげれば良いでしょう。滑りが良くなれば問題も解決します。鍵のトラブルとしてはもっとも簡単に対応できるタイプです。
その他の理由なら鍵の交換を
鍵が回りにくい、引っかかってしまう原因について見てきました。上記で紹介したような原因であれば、鍵の効果をせずに改善できる場合もあります。
そうではなく、鍵が完全に壊れてしまっていたり、防犯対策をしたい場合、もっと使い勝手の良い鍵にしたい場合などは、やはり鍵の交換がベストな方法です。
まずは今使っている鍵の状態や使い勝手などをチェックし、必要であれば鍵の交換を行いましょう。
特に防犯対策は非常に重要なことなので、できれば最新の鍵に交換したいところです。そうすればピッキングのリスクも抑えることができ、安心できます。
自分で引き戸の鍵を交換する方法
では自分で引き戸の鍵を交換する方法について、具体的なやり方を見ていきましょう。鍵はホームセンターなどでも販売されていますので、交換方法を知っておけば自分で必要な道具を用意し、交換が可能です。
自分で鍵を交換する場合、おおよそ以下のような流れに沿って作業していきます。
- 鍵のサイズ計測
- 古い鍵の取り外し
- 新しい鍵の取り付け
これらの作業ができれば鍵の交換は自分でも可能です。取り外しや取り付けはそこまで難しくないので、最初のサイズ計測が重要になってきます。
サイズが違っていると、新しい鍵がうまく取り付けられないので注意しましょう。
鍵のサイズ計測について
まずは鍵のサイズを測りましょう。ここで言う鍵というのは、鍵穴が付けられている錠前本体のことです。
縦の長さ、横の長さ、プレート全体の長さなどを測り、メモしておきましょう。新しい鍵も基本的にはこのサイズに合うものでなければいけません。
もし全く違うサイズの鍵を取り付けたい場合は、古鍵を外した場所にそのまま取り付けることができなくなります。
そのため引き戸そのものを新しいものに交換する必要などが出てきますので注意しましょう。
引き戸も新しいものに交換するのなら問題ありませんが、そうでなければサイズ計測は重要です。ミリ単位でしっかりと測ります。
古い鍵の取り外し方
サイズ計測が済んだら古い鍵を取り外します。初めて作業される方だと心配かもしれませんが、それほど難しい作業ではありません。
鍵は基本的にネジで止められています。プラスドライバーとマイナスドライバーを用意し、ネジを1つずつ外していきましょう。
すべてのネジを外すと、錠前本体が取り外せる状態になります。引き戸の場合、扉の内側と外側にそれぞれ鍵が取り付けられていますが、まずは内側から外しましょう。
その後に外側を外し、両方の鍵が外れます。外し終わると扉に穴が空いたような状態になり、そこに新しい鍵を取り付けていくことになります。
新しい鍵の取り付け方
後は購入してきた新しい鍵を取り付けるだけです。基本的には古い鍵の取り外しと同じように、ドライバーを使って鍵をネジで止めていきます。
ネジを締める時は鍵がズレたりしないよう、慎重に作業を進めましょう。また、購入した鍵の種類によって詳しい取り付け方などが違う場合もあります。
必ず取り付け方の書かれた説明書が同梱されているので、説明書をよく確認しながら作業を行いましょう。手順などに間違いがなければ。スムーズに取り付けられるはずです。
取り付けが終わったら、問題なく鍵の開け閉めができるか確かめます。内側・外側両方で鍵を開けたり閉めたりし、扉がちゃんと開くかなども確認しましょう。
何も問題なければ作業は完了です。
引き戸の鍵の費用
自分で鍵を交換する場合、新しい鍵を購入することになります。では引き戸で使われる鍵はどのくらいの費用になるのでしょうか?
これは鍵の種類などによって大きく変わります。シンプルな鍵であれば、数千円くらいで購入できるものもあります。
逆に構造が複雑、つまり防犯性能の高い鍵などは数万円の費用になる場合もあります。
価格帯が非常に広く、タイプによって費用が全く違ってくるので店頭などでよく確認しましょう。経済的な負担を考えると、安いものの方が良いようにも思えますが、鍵は防犯の役割を持ち重要なものです。
多少費用が高くなってしまうとしても、防犯性能についても考慮して鍵選びをするのがおすすめです。
自分で鍵の交換をするのが難しい場合はどうする?
DIYの経験がなく交換するのが不安な場合や、鍵の故障などで今すぐにでも新しい鍵にしたい場合など、自分で交換するのが難しいこともあります。
そんな時はどうすれば良いのでしょうか?鍵の交換は自分でできない場合、プロの依頼することが可能です。専門的な知識と技術を持つ業者にお願いすることで、スムーズに鍵の交換を行ってくれます。
自分で交換するというのも1つの選択肢ですが、難しいと感じたら無理をせずに業者にお願いしましょう。しっかりと鍵の交換をしてくれ、交換後のトラブルの回避にも繋がります。
また、用意している鍵の種類も豊富なので、より高性能な鍵に交換することも可能です。
鍵業者はどうやって選ぶ?
鍵の交換を業者にお願いする場合、まずは業者選びをしなければなりません。全国にたくさんの鍵業者がいますので、その中から信頼できる業者を見つけることがポイントです。
では具体的にどんな基準で選べば良いのでしょうか?ここからは鍵業者の選び方について解説します。鍵業者を選ぶ時、注意したいのは以下のようなポイントです。
- 料金が明確
- キャンセル料の有無
- 保証の有無
- アフターケアはしてくれるか
以上のようなポイントに気をつけながら、業者選びを行うと失敗やトラブル回避になります。
料金が明確
鍵交換にかかる料金は業者ごとに違います。たとえまったく同じタイプの鍵に交換してもらうとしても、料金設定は業者が自由にできますから差が出ます。
利用する側としては、やはり安くやってくれるのが理想でしょう。そこでまずは業者のホームページを見るなどして、どのくらいの料金になるかをチェックします。
多くの業者では料金についてはっきりと明記しています。事前に料金を見ておくことで、どのくらいのお金が必要なのか把握できます。
もしホームページに書かれていない場合は、電話で直接聞きましょう。もし料金について作業をしてみないとわからないなど、不明瞭な回答しかしてもらえない場合、その業者はあまり信用できるとは言えません。
もちろん作業を行ってみて初めてわかることもあるので、ある程度は仕方ないのですが、通常なら事前におおよその料金だけでも伝えてくれます。
また、可能なら事前に見積もりを出してもらうのも有効です。これなら作業にかかった料金の内訳も見られ、より正確に料金を把握できます。
いずれにしてもまずは料金についてできるだけ詳しくチェックすることが大切です。
キャンセル料の有無
料金に関連した部分になりますが、キャンセル料の有無も必ずチェックしましょう。鍵が故障して交換が必要だと思っても、その後に直って問題が解決することもあります。
交換してもらうにしても、作業予定日に急な用事が入り、別日に変えてもらいたいケースも出るかもしれません。
こうした理由で交換をキャンセルする場合に、キャンセル料がかかるのかどうかも事前に確かめておく必要があります。
もしキャンセル料がかかるならいくらなのか、これを確認しておかないと後でトラブルになります。キャンセル料がかからない業者もありますので、そうした業者ならいざという時も安心です。
交換にかかる料金だけでなく、キャンセル料についても必ず事前に聞いておきましょう。
保証の有無
業者はプロですから基本的に鍵の交換で失敗をすることはありません。ですが鍵を交換するのは細かい作業になるため、極稀にですが鍵が壊れてしまったり、扉に傷を付けてしまうこともあります。
こうした業者が原因のトラブルが起きた時、修理にかかる費用の扱いがどうなるのかも重要なポイントです。
保証のある業者であれば、なにかトラブルが起きた時でもその費用はこちらで負担する必要がありません。業者の負担で修理作業などを行ってくれます。
逆に保証のない業者に依頼してしまうと、いざという時に自分で費用を負担しなければならず、余計なお金がかかってしまいます。トラブルが起きることはめったにないため忘れてしまいがちですが、正式な依頼前に保証の有無も確認しましょう。
アフターケアも重要
問題なく鍵の交換が終わったと思っても、その後すぐに故障などのトラブルが起きる可能性もあります。
そうなるとまた修理費用がかかってしまうのですが、アフターケアを無料でしてくれる業者もいます。
一定期間限定ではありますが、たとえば交換後1ヶ月アフターケアが無料ならトラブルが起きても安心です。
アフターケアやアフターフォローが充実しているほど便利ですので、この点についても確認しておくのがおすすめです。
業者に依頼した場合、鍵交換はどんな流れで行われる?
業者に依頼した場合、鍵の交換はプロがやってくれるわけですが、どのような流れになるのでしょうか?基本的な流れは自分で交換する時とほぼ同じですが、改めて流れについて見ていきましょう。
まずはホームページや電話などを使い、業者に鍵の交換をお願いします。この時に料金についてや保証の有無、アフターケアなどについても確認しておきましょう。
電話で依頼すると、業者の方が実際に現場に来てくれ、そこで鍵の状態などを確認し見積もりを出します。
ここで具体的な料金が確認できますので、料金などに問題なければ正式に交換作業を依頼します。実際に鍵の交換に入りますが、流れとしては古い鍵を外し、新しい鍵を取り付けます。
作業にはそれほど時間もかからず、早ければ30分以内には終わります。このあたりはさすがプロだけあって、素早くやってくれます。
ただし、高性能な鍵に交換する場合などは、もっと時間がかかる場合もありますので、時間に余裕のある時に作業をしてもらいましょう。
交換が終われば料金の支払いをして完了です。支払い方法については、現金払いの他、業者ごとにいくつかの支払い方法が用意されている場合もあります。
引き戸の鍵にはどんな種類がある?
自分で交換するにしても、業者に依頼するにしても、新しい鍵を選ぶことになります。では引き戸に使える鍵としては、どんな種類のものがあるのでしょうか?防犯対策のうえでも、鍵の種類は非常に重要な要素です。
どんな種類があるのかを知り、なるべく防犯性能の高い安全な鍵を選ぶようにしましょう。
引き戸に使える鍵としては主に以下のような種類があります。
- シリンダータイプ
- 暗証番号タイプ
基本的には上記の2種類から鍵を選ぶことになります。実際にはシリンダータイプだけでもいくつかの種類やメーカーの違いなどがあり、選択肢はたくさんあります。
業者に依頼する場合は、業者に話を聞くなどしながらベストな鍵を選びましょう。性能はもちろん、予算との兼ね合いで料金も重要なので値段のチェックも必要でしょう。
シリンダータイプについて
シリンダータイプの鍵というのは、ごく一般的な鍵で私達が鍵として想像するのはほぼこのシリンダータイプとなります。
ギザギザの付いた鍵を鍵穴に入れ、回すと開け閉めができるタイプがシリンダータイプです。
日本では多くの家庭で使われているので、使い方も簡単で使い勝手としてはとても良いのが特徴です。ただし、シリンダータイプの種類によっては防犯性能が低いものもあるので注意しましょう。
シリンダータイプには、以下のような種類があります。
- ディスクシリンダーキー
- ディンプルシリンダーキー
- ピンシリンダーキー
- マグネットシリンダーキー
シリンダータイプの場合、これらの種類からさらに1種類を選ぶことになります。
ディスクシリンダーキー
日本でもっともよく使われているタイプです。鍵の形状がギザギザしているのが特徴で、一昔前までは家庭の鍵と言えばこれが主流でした。
費用としても安く済み、構造が比較的シンプルなため合鍵が作りやすいなど、使い勝手の面では優れています。ただし簡単にピッキングできてしまうという防犯性能の低さがネックです。
熟練した人間であれば数十秒でピッキングできてしまうというほどで、防犯性能を気にするならそこが問題となります。
実際、現在ではピッキングされやすいという理由で各メーカーも製造を止めているケースがほとんどです。新しい鍵に交換する場合は、製造されていないこともあってそもそも候補には挙がらないかもしれません。
ピンシリンダーキー
ディスクシリンダーキーの性能を向上させたようなタイプです。見た目としてはギザギザがあるためほぼ同じですが、内部構造が複雑になっているためピッキングが難しくなっています。
名称の通り鍵の内部に複数のピンが使われていて、鍵によってこのピンの高さが一定になることが鍵が開きます。ディスクシリンダーキーと比較すると防犯性能も向上していますが、この後紹介するタイプと比べると劣るといった形です。
あくまでもディスクシリンダーキーよりは高性能なんだという認識が正しいでしょう。
ディンプルシリンダーキー
ディスクシリンダーキーのようにギザギザがあるのではなく、鍵の表面にくぼみがあるタイプです。ピッキングにも強く、防犯性能を高めることが可能です。
近年ではディスクシリンダーキーに代わり、このディンプルシリンダーキーが主流になってきています。使い勝手としてはディンプルシリンダーキーとほぼ同じでありながら、防犯性能を大きく向上させているため信頼性にも優れています。
珍しい鍵ではなくある程度一般的な鍵で、さらに防犯対策もしっかりしたいならこの鍵がおすすめです。
マグネットシリンダーキー
鍵内部にマグネット、つまり磁石を利用しているタイプです。磁石にはS極とN極があり、S極とN極を近づけると反発するという性質を持っています。
この性質を利用した鍵になっていて、鍵を鍵穴に入れると磁石が反発しあい、それによって鍵内部のピンが動き鍵の開け閉めを行います。
性質上磁石を利用しないと鍵を開けることができないため、通常のピッキング道具ではピッキングもできません。そのため非常にピッキングに強いとされていて、防犯性能ではトップクラスと言えます。
絶対にピッキングされないというわけではないのですが、ピッキングによる空き巣被害のリスクを大幅に下げられます。
ただし、高性能で複雑な鍵のため、業者の中にも取り扱っていないところがあったり、費用が高めになってしまうといったデメリットもあります。
もし依頼する業者がマグネットシリンダーキーも扱っているなら、検討してみても良いでしょう。
暗証番号タイプについて
暗証番号タイプの鍵は、ボタン入力で正しい暗証番号を入力した時のみ鍵が開きます。そもそも鍵穴や鍵が不要で、引き戸に錠前本体と暗証番号を入力するボタンを設置すれば良いタイプです。
暗証番号がわからなければ鍵は開かないので、いわゆるピッキングは不可能です。暗証番号を知られることさえなければ、後は扉を物理的に破壊するくらいしか侵入方法はありません。
防犯性能が非常に高く、安心して使える鍵です。ですが暗証番号を忘れてしまうと自分でも開けられなくなるため、暗証番号を絶対に忘れないようにしなければなりません。
メモしておくのも有効ですが、メモを他人に見られると不正に利用されることもあるので、その点には注意しましょう。
引き戸の鍵の交換は、自分でも行えます。方法さえ知っていれば作業可能ですが、自分では難しいというケースもあるでしょう。
その場合は無理をせず業者に依頼しましょう。業者に依頼する時は料金についてなど、事前に必要なことを確認しておき、信頼できるところに依頼します。
また、鍵の種類も豊富なので、予算や防犯性能などを踏まえて理想の鍵を見つけましょう。鍵は自宅を守るために重要な役割を果たします。
新しく交換するのであれば、できるだけ高性能で優れた鍵にしましょう。そうすることで空き巣被害などを防ぎ、毎日の生活を安心して送れるようになります。
まとめ
引き戸の施錠とは、その戸をどのような方式で固定するかによって変わってきます。おもに一枚引き戸に使われる鍵錠であったり、二枚引き戸を固定するプッシュ栓錠であったりと、様々なものがあります。これらの中で大きさ等が規格化されているものであれば錠前の部分だけの交換も可能です。
しかし、構造上、戸と一体化していることが多いので、立て付けのスムーズさ等も考えると専門の業者を利用するのが適当でしょう。